アメリカの家庭の味
アメリカンアップルパイはアメリカの各家庭で作られる「お母さんの味」。
練りパイ生地とフレッシュなりんごを使うのが特徴で、日本で食べる一般的なサクサクパイ生地のアップルパイとは異なる味わいです。
今回のコラムではアメリカンアップルパイの作り方をご紹介します。気軽に作れるレシピなので、ぜひチャレンジしてくださいね。
アップルパイに向いているりんごの品種
一般的にアップルパイに向いているりんごは、加熱した際に果肉が崩れにくく、ある程度の酸味があるものだといわれています。
アップルパイ作りにおすすめの品種をご紹介します。
紅玉
酸味が強めの品種。果肉がかたいので加熱しても崩れにくく、りんごの食感がしっかり残るのが特徴です。
皮と一緒に加熱すると果肉が薄い赤に染まります。色をつけたい場合は特におすすめ◎
日本ではアップルパイに紅玉が使われることが多く、スーパーなどでも比較的手に入りやすい品種です。
グラニースミス
緑色のりんごで、紅玉と同様に酸味が強く果肉がかたい品種です。
アメリカでアップルパイを作るときによく使われるりんごの品種なので、より本場の味に近づけたい場合はこちらを使うのがおすすめです。
シナノゴールド
黄色のりんごで、酸味と甘さが適度にあり、そのまま食べてもおいしい品種です。果肉はかたく、加熱してもりんごの食感が残ります。
アップルパイにすると少し酸味が残りつつ、しっかりとした甘さも感じられます。強めの酸味が苦手な方におすすめのりんごです。
ふじ
甘みが強く、酸味も適度にある品種。そのまま食べてもとってもおいしいりんごです。
加熱しても形が残りやすいのが特徴。
紅玉などと比べると酸味が少ないので、アップルパイでは物足りない場合も。レモン汁を加えてバランスをとるのもよさそうです。
流通量も多くスーパーなどで年間を通して手に入りやすいので、時期を選ばずアップルパイが作れます!
秋映
深い赤色で、酸味と甘さが適度にある品種です。
味が濃厚で果肉はかたく、加熱してもりんごの食感が残りやすいのが特徴です。酸味はそれほど強くありません。
りんごは時期によって出回る品種なども異なります。時期や好みによって色々なアップルパイを作るのもいいですね。
アメリカンアップルパイのレシピ(直径20cmパイ皿1台分)
ザクザクなパイ生地にりんごの酸味とスパイスの香りが絶品♪
今回はパイ皿を使いましたが、18cmタルト型でも作れますよ。
フィリングを作る
材料
- りんご(紅玉)…4個(650g前後)
- レモン果汁…5g
- ブラウンシュガー…50g
- グラニュー糖…30g
- シナモンパウダー…1g
- コーンスターチ…10g
作り方
- りんごは16等分のくし切りにする。レモン果汁をボウルに入れ、カットしたりんごを合わせる。
- ブラウンシュガー・グラニュー糖・シナモンを混ぜ合わせ、1に加えて混ぜる。
- ラップをして2時間常温に置いておく。
*この間に生地を作ります。
- ザルにあけ、果汁とりんごに分ける。
- 果汁を15g取り分け、コーンスターチと合わせてよく混ぜる。
- 残りの果汁を鍋に入れて火にかけ、とろみがついたら火を止める。
- コーンスターチと合わせた果汁を混ぜながら加える。混ぜながら火にかけ、沸騰したら火をとめて粗熱をとる。
生地を作る
「フィリングを作る」工程3のところで生地を作るとスムーズです。
材料
- 薄力粉…150g
- 強力粉…50g
- ブラウンシュガー…30g
- 塩…2g
- 無塩バター…100g
- 冷水…50g
下準備
- 使う直前までバター、粉類を冷蔵庫で冷やす。
作り方(フードプロセッサー使用の場合)
- 冷水とバター以外の材料を全てフードプロセッサーに入れ、数回パルス操作(手動で運転時間を操作できる機能)で全体を混ぜる。
- 角切りにしたバターを入れ、バターが5mm前後の大きさになるまで回す。
- 冷水を加え、パルスしながら生地がそぼろ状になるまで混ぜる。
- 生地を取り出してある程度まとめたら2等分にし、形を丸く整える。
ラップに包んで2時間ほど寝かせる。
- 冷蔵庫から取り出した生地をベーキングペーパーやラップで挟み、めん棒でパイ皿よりひとまわり大きいサイズになるようにのばしていく。
冷蔵庫で冷やしておく。
作り方(手で作る場合)
- ボウルに水とバター以外の材料を全て入れ、ゴムベラで全体を混ぜる。
- 角切りにしたバターを入れ、指でバターを粗く潰しながら粉と合わせる。
- 手のひらで粉とバターをすり混ぜ、バターを細かくしていく。
- バターが5mm前後の大きさになったら冷水を加える。
*バターの大きさは多少粗めで大丈夫です。
- ゴムベラで切るように混ぜ、そぼろ状になったら取り出す。
- 「作り方(フードプロセッサーの場合)」の工程4・5と同様に作業する。
ドリュールを作る
材料
- 卵黄…10g
- 牛乳…5g
作り方
- 卵黄に牛乳を入れて混ぜる。
組み立て・仕上げ
材料
- 無塩バター…15g
- クリスタルシュガーまたはグラニュー糖…適量
下準備
- オーブンを210℃に予熱する。
作り方
- 薄く円形にのばした生地をパイ皿にのせる。
- 底の面と側面がしっかり密着するように押さえる。上部の縁もしっかり押さえる。
- りんごを入れ、煮詰めた果汁を回しかける。
- 角切りにしたバターをのせる。
- もう1枚の生地を上から重ねる。上から押さえ、重なっている縁の生地を圧着する。
- 外側に折り返して圧着し、指の腹で模様をつける。
- ドリュールをハケで薄く塗る。
- ナイフで空気穴を開ける。
- 上からクリスタルシュガーまたはグラニュー糖を振りかけ、210℃に予熱したオーブンを200℃に下げて5分間焼く。その後180℃に下げて50分間前後焼く。
- 出来上がり。
「アメリカンアップルパイ」の詳しいレシピページはこちら。
レシピのポイント
アメリカンアップルパイをおいしく作るコツを工程ごとにご紹介します。
フィリング作りのポイント
水分をしっかり出す
アメリカンアップルパイのフィリングは生のりんごを加熱せずに作ることが多いのですが、焼成した際にりんごから出る果汁で生地がベチャベチャになることも。
今回のレシピでは砂糖を混ぜた後2時間ほど放置することで、りんごから果汁を出します。
さらに果汁を煮詰めてコーンスターチでとろみをつけることで、時間が経ってもザクザク食感が残る生地に仕上げました。
生地作りのポイント
材料を冷やす
パイ生地を混ぜ合わせるときに温度が上がると、グルテンが形成されすぎてしまい、焼成でうまく膨らまなくなります。
冷やした粉と冷水を使用する理由は、生地の温度を上げないため。温度を下げてグルテンの形成を防ぎましょう。
バターは砕き過ぎない
フードプロセッサーを使う場合も手作業の場合も、生地に加えるバターを細かくしすぎないのがポイントです。
バターが小さい粒状だと生地になじんでしまい、焼き上がりのザクザクした食感が少なくなってしまいます。
5mm前後の大小違う大きさのバターがあることでよりザクザクした食感に。バターはある程度砕いたら粗めに残すようにしましょう。
練りパイだけど練らない!
生地を混ぜる際に練ると、小麦粉からグルテンが形成されすぎて焼き縮みの原因に。食感も悪くなります。
切るように混ぜるのがコツです。そぼろ状になり、粉がある程度混ざっていたら取り出してまとめてOK。
まとめるときもざっくり形を整える程度で大丈夫です。
冷やしながら形成する
生地をのばすときやパイ皿に敷き込む際にバターが溶けてしまうと、層がなくぎゅっとかたい生地になるのでご注意を。
生地中のバターが層になることでサクサク・ザクザクの食感になります。
生地が緩くやわらかくなってきたら冷蔵へ入れ、生地を冷やしながら作業しましょう。
焼成のポイント
縁の焼きすぎに注意
りんごにしっかり火を入れるため、オーブンで1時間程度焼きます。使用するオーブンによっては縁が焦げてしまうことも。
焼き色が強くなりすぎる場合は中心をくり抜いたアルミホイルなどをかぶせて縁を守りましょう。
おすすめの食べごろ
焼きたてはりんごから出た果汁が染み出している状態。熱いうちは果汁がサラサラで、焼きたてをカットすると、せっかくの果汁が外に出てしまいます。
煮詰まった果汁が冷え、粘度が出るまで待ってからカットしましょう。3時間ほど冷ましてからが食べごろです。
味や食感は?
生地はほんのり甘く、塩気のあるザクザク食感!
フィリングのりんごは中心まで火が通っていますがサクサクとした歯ごたえ。甘酸っぱさがたまりません♪
バターと煮詰まったりんご果汁が合わさり、キャラメルのような風味が楽しめます。シナモンが味わいのアクセントに。
アイスクリームやキャラメルソースとも相性ぴったりです!
みんな大好きアメリカンアップルパイ
今回はアメリカンアップルパイのレシピと作り方のコツをたっぷりとお届けしました。
シンプルな見た目で手軽に作れるアメリカの家庭の味!ザクザクとした食感とスパイスの効いたフィリングが魅力です。
いつものサクサクなアップルパイもいいけれど、定期的に食べたくなるアメリカンスタイルのアップルパイ。
私も大好きなおすすめのレシピです。ぜひ作ってみてください。