
「おいしいから」「手軽だから」作る
米粉のふわふわパン
米粉のパンって、うまく膨らまないし、もちもちして重たい…。そんな印象をガラリと変えるのが、米粉料理研究家、多森サクミ先生が焼く米粉のパン。
手にしただけでふんわり軽く、一口食べれば、ほのかに感じる甘さに、もっともっとと手が伸びるほど! そんな「米粉のふわふわパン」がどのように生まれたのか、お聞きしました。

子どものアレルギーをきっかけに始めた
米粉のパン作り
多森さんが米粉のパンを焼き始めたのは、17年前。お子さんの小麦と卵のアレルギーがきっかけでした。
「授乳期間だったので、私も小麦粉のものは口にしないようにしよう、と。でも、どうしてもパンが食べたくて米粉で作ってみたんです。子供のためというより、私のためだったかもしれないですね」と笑いながら当時を振り返ります。

もっとおいしく食べたいと配合を変えたり、焼き時間を調整したり……。あれこれチャレンジして、ふわふわの仕上がりを目指してきました。
「ポイントさえ押さえれば、小麦粉で焼くよりも時間は短いし、楽なんですよ」と話しながら、さっそくボウルに材料を入れ始めます。

米粉パンなら、時短でできて、失敗も少ない!
多森さんおすすめの米粉は「ミズホチカラ」。米粉のために開発されたお米から作られている粉です。
「米粉パン作りは米粉選びがとても大切なんです。選ぶ米粉を間違えると、パンにならないこともあるんです」

米粉を使ったパンで、よくある失敗が膨らまないこと。もしくは、せっかく膨らんでも、すぐに表面がへこんでしまうことも。それが、このミズホチカラを使えば、失敗しにくく、ふんわり軽い食感に仕上がると言います。
「ミズホチカラという品種には、他のお米とは違う特徴的なでんぷんの性質があって、それがパン作りにぴったりなんだと思います。あとは、発酵具合をきちんと確認して焼けばふわふわに仕上がりますよ」

ボウルに入れて材料を混ぜたら、生地をこねる必要はありません。パウンド型に入れて焼けばよし。時間をかけることなく、手軽に作ることができます。
「毎日食べても飽きない味なので、続けて作って欲しいと思って。工程も簡単で、道具も身近なもので考えました」

和風のおかずにも合う、飽きない味
焼き上がった米粉パンは、ふんわりやわらかで、さらにほのかにお米独特の甘さを感じられる味わい。くせがなく「毎日でも食べられる」という多森さんの言葉にも納得です。

多森さんのお宅では、和風のおかずと一緒に食べることも多いそう。盛り付けてくれたワンプレートに並んでいるのは、きんぴらごぼうや塩麹で和えたブロッコリー、みそでマリネしたトマトなど。
「こんな食べ方も」と作ってくれたのがきんぴらごぼうのサンド。ふわふわパンとシャキシャキのきんぴらの相性は抜群です。

さらに「おにぎり感覚でこんな味つけもいいですよ」と教えてくれたのは、ごま塩や赤じそのふりかけ、韓国のりをそれぞれのせたもの。簡単なのに、ほどよい塩けが絶妙。

もともとは、お子さんのアレルギーのため、自分のためにと米粉を使うようになった多森さんですが、作り続けるうちに、目的が変わったと言います。
「『米粉だとおいしいから』です。特にアレルギーがなくても、おいしいから米粉のパンやお菓子を食べるという人が増えているし、私も実際にそうなんです。米粉で作ると手軽だし、ふわふわでおいしい!ということを、これからも伝えていきたいです」
次回は、cottaの中の人が登場!クリスマスが盛り上がるクッキーのお話です。
【取材・文/晴山香織 撮影/忽滑谷なつみ】
多森サクミ先生

2006年より米粉のパンを作り始め、2013年に米粉のパンとお菓子の教室「あれこれキッチン」をスタート。おいしさと子連れでも参加できることから人気に。企業や雑誌へのレシピ提供のほか、全国での出張レッスンや講師、テレビ出演など幅広く活躍中。2022年にグルテンフリーベーカリー「オーマイブレッド!!」をオープン。近著に『小麦粉・卵・乳製品不使用 発酵いらずですぐおいしい かんたん米粉パン』(立東舎)がある。