健康に気を使いたいと思い、オートミールに興味を持っている方も多いのではないでしょうか。オートミールには豊富な栄養素が含まれていることから、さまざまな効果が期待されています。
本記事では、オートミールの特徴や血糖値に与える影響などを解説します。
オートミールとは
オートミールとは、
オーツ麦を加工して作られたシリアルのことです。シリアルは、穀物をつぶして食べやすくしたものを表します。保存食であり、簡単に調理して食べられます。
オートミールには、原料であるオーツ麦の外皮も含まれているため、
ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富です。
オートミールの種類
オートミールには、
スティールカットオーツ・ロールドオーツ・クイックオーツ・インスタントオーツなど、さまざまな種類があります。
スティールカットオーツは、オーツ麦を2~3つに砕いたオートミールです。おかゆにする場合は、30分程度煮込みます。
ロールドオーツは、オーツ麦を蒸して柔らかくした後、平たく伸ばしたものです。5~10分程度で調理が完了します。
クイックオーツは、オーツ麦を細かく砕いており、1~2分程度で加熱できます。
インスタントオーツは、オーツ麦に熱を加えて乾燥させたものです。ふやかすだけで食べられるため、より手軽にオートミールを楽しめます。
オートミールとグラノーラの違い
オートミールとよく似た食べ物として、グラノーラがあります。
玄米などの穀物やナッツ、ドライフルーツなどを入れてオイルとシロップを合わせ、オーブンで焼いた加工食品です。オートミールは、加工の際に味付けは行われません。
グラノーラの中にもシュガーレスのタイプはあります。しかし一般的には、
オートミールのほうが自分で調理してさまざまな食べ方を楽しめます。
オートミールを食べると血糖値が下がるの?
オートミールの原料であるオーツ麦は、
食後の血糖値の上昇を抑えると言われています。これは、オーツ麦に、
水溶性食物繊維のβグルカンが含まれているためです。
水溶性食物繊維とは、水に溶ける食物繊維のことです。水に溶けてジェル状になった水溶性食物繊維は、小腸や大腸に張り付き、糖質が急激に吸収されないようにする効果を発揮します。
記事の本題に入る前に、オートミールについて今一度復習してみませんか?
「正直オートミールはよく知らない」という方でも、こちらの記事を読むことで「なぜ血糖値が上がりにくいのか、他にはどんな効果があるのか」についてより理解する事が出来ます。是非ご覧ください!
参考:
「穀類に含まれる食物繊維の特徴について」青江誠一郎
オートミールのカロリーや糖質量は?
オートミール100gあたりのカロリーは350kcal、糖質は59.7gです。オートミールは1食あたり30g程度であるため、
1食分のカロリーは105kcal、糖質は17.9gと計算できます。
ご飯やパンと比較すると、
オートミールの1食分のカロリーや糖質は低めです。ただし、たくさん食べるとその分カロリーや糖質も多くなるため、食べ過ぎには注意しましょう。
参考:日本食品標準成分表2020年版
オートミールの種類別GI値
GI値とは、糖質の吸収度合いのことです。
食品を食べてから2時間以内に血糖値がどの程度上昇するかを表しています。
オートミールは比較的GI値が低い食品です。ただし、オートミールの加工方法によって、GI値には違いがあります。オートミールの種類別GI値は下記のとおりです。
・スティールカットオーツ:48~53
・ロールドオーツ:57〜59
・クイックオーツ:66
・インスタントオーツ:76
オートミールの中では、スティールカットオーツのGI値が最も低くなっています。
穀物は硬いほど消化吸収に時間がかかるため、GI値も低くなる傾向があります。
参考:
SYDNEY
ここではオートミールの種類によってGI値が異なることを説明しましたが、いくらGI値が低いといっても、食べ過ぎは良くありません。
では「食べ過ぎ」とは具体的にどれくらいなのでしょうか?どれくらいの量を食事に取り込んでいけばいいのでしょうか?
こちらの記事では具体的な数字を用いて解説しております。是非ご覧になって、実際どのように取り入れていくのか考えてみましょう!
オートミールを食べると健康にどんなメリットがある?
オートミールに期待されている効果は、血糖値の上昇を抑えることだけではありません。ここでは、オートミールを食べることで期待できる健康面のメリットについて解説します。
肥満を予防できる
オートミールを食べると、
肥満の予防につながると言われています。これには、オートミールに含まれている水溶性食物繊維のβグルカンが関係しています。βグルカンの代表的な働きは、糖質の吸収を抑えることです。
糖質を摂取すると血糖値が上昇し、それを抑えるために体内でインスリンが分泌されます。インスリンはブドウ糖をグリコーゲンに変えますが、グリコーゲンに変えられなかったブドウ糖は中性脂肪になります。βグルカンは糖質の吸収を抑えることから、
ブドウ糖由来の中性脂肪の過剰な生成を減らすことが期待できます。
また、βグルカンには、
血中のコレステロール値を正常化する効果も期待されています。コレステロール値が高い場合も肥満につながります。オートミールを摂取してコレステロール値をコントロールできれば肥満の防止を期待できます。
参考:
「穀類に含まれる食物繊維の特徴について」青江誠一郎
セカンドミール効果がある
オートミールには、
セカンドミール効果もあると言われています。セカンドミール効果とは、最初の食事が、次の食事の糖質の吸収を穏やかにすることです。
たとえば、朝食にオートミールを食べた場合、朝食だけでなく昼食で摂取した糖質の吸収も緩やかになることが期待できます。つまり、昼食を食べた後の血糖値の上昇を抑制することも可能なのです。
また、オートミールは腹持ちがよいため、余計な間食を防ぐ効果も期待できます。
ただし、セカンドミール効果については、体質などの個人差があります。また、暴飲暴食や血糖値があがりやすい食事、間食が多い場合は効果が発揮されないことがあります。
腸内環境を整えられる
オートミールに含まれている食物繊維には、
腸内環境を整える作用もあります。オートミールに含まれている
食物繊維の量は玄米の3倍です。そのため、オートミールには白米よりもおなかの調子を整える効果が期待できます。
便秘ぎみになると腸内に悪玉菌が増え、体にさまざまな悪影響を及ぼします。血行不良やむくみなどもその一例で、注意が必要です。食物繊維を積極的に摂取することで腸内環境を良好に保ちましょう。
オートミールが腸内環境へもたらす効果については、こちらの記事でも解説しています。
低カロリーで栄養素たっぷり!オートミールの効果と食べ方【レシピ付き】
少量で満腹感が得られる
オートミールは、調理時に水分を吸って膨らみます。よって、調理する前に少量だと感じても、実際に食べてみると満腹感を得られる方が多いでしょう。
必要以上に食べ過ぎないことで、ダイエットをしたいと考えている人にはおすすめできます。
なお、水ではなく牛乳や豆乳、アーモンドミルクを使用したり、味付けを工夫することで飽きずに毎日食べることも可能です。
オートミールを食べて不健康になる?
ここではオートミールを食べる上での健康上でのメリットについて紹介しました。
ただ、オートミールは容量を誤るとかえって健康に良くなくなってしまう可能性もあります。
なぜそうなってしまうのかやリスクも知って正しくオートミールを生活に取り入れていきましょう!
血糖値の上がりにくいオートミールの食べ方
オートミールは、血糖値の上昇を抑える栄養素を多く含んでいる食品です。食事方法にこだわることで、さらに血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。ここでは、血糖値の概要、血糖値の上昇を抑えるオートミールの食べ方を紹介します。
そもそも血糖値とは何か?
血糖値とは、血液に含まれているグルコースの濃度を表すものです。グルコースは、ブドウ糖とも呼ばれます。食事により炭水化物が消化吸収されると、ブドウ糖に分解されます。ブドウ糖が血液中に入ることで、血糖値が上昇します。
血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖が細胞に取り込まれます。細胞に取り込まれたブドウ糖は、身体を動かすためのエネルギー源として使用されます。
血糖値|e-ヘルスネット(厚生労働省)
血糖値スパイクの仕組み
血糖値の上昇と低下が急激に起こることを
「血糖値スパイク」と呼びます。インスリンを分泌する能力が弱くなると血糖値スパイクが起きやすくなるため、気をつけなければなりません。たとえば、肥満や老化は、インスリン分泌能力が低くなる要因です。
インスリンを分泌しにくくなると細胞にブドウ糖を取り込めなくなり、結果として血糖値が高くなります。血糖値が急激に上昇すると、体はインスリンを大量に出そうとし、後から一気に血糖値が下がってしまいます。
血糖値の乱高下は血管にダメージを与えるため、動脈硬化の原因のひとつであり、生活習慣病の原因にもなります。
血糖値を上げにくくするオートミールの食べ方
オートミールは他の炭水化物と比較すると糖質量が少ないものの、
食品全般の中では糖質量が多めです。
そのため、食べすぎたり、糖質量の多い他の食品と一緒に食べたりすれば、糖質の過剰摂取につながります。その場合、高血糖を引き起こすリスクがあるため、注意しましょう。
オートミールは健康に良いとされる栄養素を含んでいますが、オートミールだけを食べていれば十分なわけではありません。
他の食品も組み合わせ、バランスの良い食事を摂取することが大切です。
特に、葉物野菜、きのこ類、海藻、大豆製品、ナッツ類、卵、牛乳、ヨーグルトなど、
GI値の低い食品を意識して食べましょう。
オートミールを取り入れるときの注意点
オートミールを食べる際は、気をつけたいポイントがあります。オートミールを適切に摂取し、健康を目指しましょう。
オートミールはオーガニックのものを選ぶ
一般的に、穀物を栽培するときは農薬を使用するため、商品として販売されている穀物にも農薬の成分が含まれている可能性があります。
しかし、農薬を使用せずに栽培されているオーガニックの穀物もあります。安全に美味しい穀物を食べるなら、
農薬を使用していないオーガニックのものを選ぶのが無難です。
なお、有機栽培もオーガニックと同じ意味です。有機栽培されたオーツ麦から作られた有機オートミールも販売されているため、購入する際は気をつけて見てみましょう。
低血糖にならないよう注意
オートミールにはさまざまなメリットがあります。しかし、通常の食事に加えてオートミールを摂取すると糖質の摂り過ぎになる恐れがあるため、気をつけましょう。
ご飯やパンなどの主食をオートミールに置き換えて食べるのがおすすめです。
炭水化物や甘い食べ物を大量に食べて高血糖を引き起こしやすい状況が続くと、体では血糖値を下げるインスリンが過剰分泌されるようになります。
その結果、低血糖になるリスクがあるため、要注意です。低血糖になると、
集中力の低下・頭痛・冷や汗・動悸・震えなどの症状が表れます。
参考:
低血糖|糖尿病情報センター
ダイエットにもおすすめ!オートミールを使ったヴィーガンレシピ3選
オートミールはシンプルな食材であり、幅広い食べ方ができます。オートミールを食生活に取り入れるなら、さまざまな食べ方に挑戦してみましょう。ここでは、オートミールを使用しているおすすめのレシピを紹介します。
オートミールのヴィーガン肉団子
オートミールをひき肉の代わりに使用する肉団子です。オートミールさえあれば、わざわざ大豆ミートなどを用意しなくても、動物の肉を使用しないヴィーガン肉団子を作ることができます。
オートミールのヴィーガン肉団子
オートミールとパプリカのヴィーガンファルシー
ファルシーとは、野菜などをくり抜き、中に具材を詰めるフランス料理です。具材は肉の場合が多いですが、それをオートミールに変更すれば、ヘルシーで美味しい料理になります。
このレシピでは、パプリカに、オートミールやきのこを混ぜ合わせた具材を詰めています。にんにくやハーブも使用しており、食欲をそそる料理です。なお、
グルテンフリーなので、グルテンアレルギーがある方でも食べられます。
オートミールとパプリカのヴィーガンファルシー
オートミールの簡単ヴィーガンリゾット
オートミールを使用したリゾットのレシピもあります。調理によりオートミールがしっかり膨らむため、少量でも満腹感を得られます。
栄養たっぷりの食事を摂りたいと考えている人におすすめです。朝食として食べれば、午前中から元気に活動できますね。
栄養が豊富ながらヘルシーなので、ダイエットにも適しています。
オートミールの簡単ヴィーガンリゾット
オートミールを活用して健やかな毎日を送ろう!
オートミールにはたくさんの栄養素が含まれており、血糖値の急激な上昇を抑える効果を期待できるため、注目を集めています。オートミールを食生活に取り入れ、さまざまな食べ方を試してみましょう。
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