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ゼロから学ぶパン酵母

はじめてのパン作り

生地を発酵させる役割がある酵母。
酵母は酵母菌のことで、ドライイーストも天然酵母も含まれていますが発酵力や味わいはそれぞれ別。
パン酵母について分かると、パン作りがもっと楽しくなります。
自家製酵母の作り方も紹介していますので、慣れてきたらぜひチャレンジしてみてください。

パン酵母とは

パン酵母とは、パン作りに適した酵母のことを指します。
パン酵母には、パン作りに適した酵母を純粋培養した「イースト」や野生の酵母を培養した「天然酵母」があります。

パン酵母のはたらき

パン酵母には糖分や水と結びつき、生地を発酵させるはたらきがあります。

(1)ブドウ糖や水、湿度と湿気などの条件が揃うとパン酵母菌は増殖をし、パン生地は発酵を始める。

(2)発酵中はグルテンの膜の中に炭酸ガスの気泡ができ、生地の温度が上がるにつれて生地は膨張する。

(3)膨張するとパン生地は内側から膨らんでいき、弾力のある生地に。

(4)酵母が生きている間は発酵が続くため、オーブンに入れた後もしばらくは膨らみ続ける。

(5)パン酵母のおかげでパンにボリュームがでてふっくらと美味しい食感に。

イーストとは

イーストとは、パン作りに適した酵母のみを凝縮したパン専用の酵母です。
発酵力が安定しているため、日常のパンづくりに向いています。

イーストは「生イースト」、「ドライイースト」、「インスタントドライイースト」の3種類に分けることができます。

生イースト

パン酵母を培養後に水洗いをし、脱水機で水切りした生イースト。
パン屋さんでも用いられることが多く、万能タイプのイーストです。イースト臭がなく、ふんわりとした食感を楽しむことができます。
オールマイティーに使えますが、特に砂糖が多い生地との相性は◎。
低温に対する耐久性もあるため、冷蔵・冷凍保存する生地にもおすすめです。
開封後は早めに使い切りましょう。

【おすすめのパン】
リッチなパン(菓子パンなど甘みの強いパン、食事パン)

Q.パンの種類によってイーストを使い分けるのはなぜ?

ドライイースト

パン酵母を低温で長時間乾燥させ、脱水し粒状にしたドライイースト。
ドライイーストは酵母が仮眠状態にあるため、ぬるま湯に入れて発酵力を復活させる必要があります(予備発酵)。
一手間掛かりますが、長期間の保存が可能。
また、発酵産物の香味成分がよく、パン生地の風味がよくなります。
糖分に弱いため、ハード系のパン作りに用いましょう。

【おすすめのパン】
フランスパンなど、甘みの少ない食事パン

Q.パンの種類によってイーストを使い分けるのはなぜ?
Q.セミドライイーストとは?
Q.ドライイーストの予備発酵がうまくいかない

インスタントドライイースト

生イーストをドライイーストよりも短時間で乾燥させ、乳化剤を加えてできるインスタントドライイースト。
ドライイーストよりも細粒状で、予備発酵が不要です。
発酵力が強く、初心者でも簡単にパンを作ることできます。
無糖生地用と加糖生地用があり、どんなパンでも作ることができます。
ドライイーストよりも手軽に使えますが、開封後の劣化はドライイーストよりも早いため注意が必要です。

【おすすめのパン】
あらゆるパンに

Q.パンの種類によってイーストを使い分けるのはなぜ?
Q.セミドライイーストとは?
Q.赤サフと金サフ、青サフの違いは?

天然酵母とは

天然酵母とは、自然界に生息している様々な酵母菌を指します。
果実や穀物の恵みを取り入れた天然酵母には、様々な種類があり、それぞれに特性があります。

酵母には様々な種類がありますが、形状は大きく分けて「ドライタイプ」と「自家製タイプ」に分けることができます。

ドライタイプ

天然酵母を乾燥させて粉末状にしたドライタイプ。
顆粒のパン種とぬるま湯(30度)を1:2の割合で混ぜ合わせ、28~30度で24時間発酵させて生種として使います。
用途別に複数の酵母を配合したタイプの天然酵母もあります。

自家製タイプ

果物や穀物に水を入れて、酵母を培養する自家製タイプ。
温度や湿度管理などが必要なため上級者向けではありますが、原料別に異なる特徴を持つ酵母を作ることができます。

自家製酵母の作り方

人気ブロガーのvivianさんに、自家製酵母の作り方を教えていただきました。

レーズン酵母
グリーンレーズン酵母
りんご酵母
ヨーグルト酵母


Q.自家製酵母のオリとは?
Q.酵母づくりに使用したレーズンや林檎は食べれる?

※気温25度程度の季節に酵母起こしを行った場合のレシピです。気温が低いともう少し時間がかかります。逆に、気温が高いともう少し早く酵母起こしができます。
また、作業場所の環境によって発酵具合が異なる場合もあります。

レーズン酵母でパンを焼いてみよう!

レーズン酵母の作り方

自家製酵母の基本の酵母です。
いつでも手に入るレーズン酵母は発酵力も強く、どんなパンとも相性抜群!初心者の方でも起こしやすい酵母です。

【材料】
レーズン(オイルコーティングなしのもの) 60g
浄水 240g
砂糖 10g

1日目
(1)使う瓶を熱湯消毒する。
1日目
(2)材料をweckに入れ、ラップをしてweckプラスチックカバーをする。混ぜ合わせた後の温度は25度~28度位が望ましい。
2日目
レーズンが水を含んで膨らみ、少し泡が出てくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
3日目
水の色が濃くなり、一部レーズンが浮いてくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
4日目
レーズン全体が浮いてくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
5日目
泡の勢いが増してくる。レーズンが酵母液から持ち上げられるようになる。この時点で冷蔵庫に入れ、1日置く。底面に酵母菌がたっぷり含まれたオリが現れる。使うときには瓶をよく振ってこのオリも一緒に使う。

グリーンレーズン酵母の作り方

あっさりとしたくせのない酵母で、レーズン酵母と比べて甘みも少ないです。
発酵力がとても強く、初心者の方でも起こしやすい酵母です。

【材料】
グリーンレーズン(オイルコーティングなしのもの) 60g
浄水 240g
砂糖 10g

1日目
(1)使う瓶を熱湯消毒する。
1日目
(2)材料をweckに入れ、ラップをしてweckプラスチックカバーをする。混ぜ合わせた後の温度は25度~28度位が望ましい。
2日目
グリーンレーズンが水を含んで膨らんでくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
3日目
水が濁り、泡が少し出てくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
4日目
グリーンレーズン全体が浮いてくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
5日目
泡の勢いが増してくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
6日目
グリーンレーズンが酵母液から持ち上げられるようになる。この時点で冷蔵庫に入れ、1日置く。底面に酵母菌がたっぷり含まれたオリが現れる。使うときには瓶をよく振ってこのオリも一緒に使う。

りんご酵母の作り方

発酵力が強く、比較的失敗の少ない酵母です。
粉を捏ねているとりんごのフルーティーな香りに包まれます。
今回は皮と芯で酵母を起こしましたが、実も一緒に発酵させて酵母液ドリンクを作っても美味しく頂けます。

【材料】
りんごの皮や芯(もちろん実を使ってもできます) 70g
浄水 280g
砂糖 25g

1日目
(1)使う瓶を熱湯消毒する。
1日目
(2)材料をweckに入れ、ラップをしてweckプラスチックカバーをする。混ぜ合わせた後の温度は25度~28度位が望ましい。
2~3日目
水が色付き、少し泡が出てくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
4日目
泡の勢いが増してくる。りんごの皮が酵母液から持ち上げられるようになる。この時点で冷蔵庫に入れ、1日置く。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
5日目
泡の勢いが増してくる。りんごの皮が酵母液から持ち上げられるようになる。この時点で冷蔵庫に入れ、1日置く。底面に酵母菌がたっぷり含まれたオリが現れる。使うときには瓶をよく振ってこのオリも一緒に使う。

ヨーグルト酵母の作り方

発酵の見極めが少し難しいので、レーズン酵母やリンゴ酵母に慣れてきたら挑戦したい酵母です。
ヨーグルト酵母はふんわりしたパンを作るときにおすすめです。

【材料】
ヨーグルト(無糖) 150g
浄水 150g
砂糖 30g

1日目
(1)使う瓶を熱湯消毒する。
1日目
(2)材料をweckに入れ、ラップをしてweckプラスチックカバーをする。混ぜ合わせた後の温度は25度~28度位が望ましい。
2日目
少し分離し、泡が出てくる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
3日目
分離が激しくなる。1日2~3回、瓶をよく振って、蓋とラップを外し外気に触れさせる。再びラップと蓋をして寝かせる。
4日目
泡の勢いが増し、発酵のピークとなる。この時点で冷蔵庫に入れ、1日置く。使うときには瓶をよく振って使う。

自家製酵母の保存&使い方

自家製酵母の保存方法

出来上がった酵母は冷蔵庫で保管します。1か月位を目安に使い切るようにしましょう。
また、使い切った酵母の瓶にそのまま同じ材料を入れて発酵させると、瓶に残っている酵母菌の力で早く発酵します。鼻に付いた臭いがしたり、カビが発生したら、瓶を熱湯消毒して初めからやり直しましょう。

自家製酵母の使い方
(元種の作り方)

起こした酵母エキスを仕込み水に入れてパンを作る「ストレート法」。
あまりボリュームを出したくないバゲット等に使います。
また、酵母エキスを使った元種でパン生地を作る「元種法」でパンを作ると、ふんわりとボリュームのあるパンに。

(1)

700㏄~800㏄程度の瓶を熱湯消毒します。よく冷ましたのち、酵母エキス50g、全粒粉50gを入れて清潔なスプーン等で粉気がなくなるまで混ぜて蓋をします。

(2)

暖かい場所(25~28度)に置き、2倍程度になるまで発酵させます。このとき、元の量に輪ゴム等をして印をつけておくと便利です。約6時間~8時間程度かかります。あまり時間をかけても膨らまない場合は酵母エキスから作り直しましょう。

(3)

(2)へ更に中力粉70g、水50gを入れて良く混ぜ、暖かい場所(25~28度)に置き、2倍程度になるまで発酵させます。2~3時間程度で2倍になります。

(4)

(3)へ更に中力粉100g、水70gを入れて良く混ぜ、暖かい場所(25~28度)に置き、2倍程度になるまで発酵させます。1~2時間程度で2倍になります。その後冷蔵庫で1晩置き、元種として使います。

パン酵母Q&A

Q.パンの種類によってイーストを使い分けるのはなぜ?

A.パン生地とイーストには相性があるため

イーストは、パン生地内のショ糖や小麦粉に含まれるでんぷん質をブドウ糖などに分解して栄養源にしています。この栄養源や湿度や湿気などの条件が揃うとイーストは増殖し、パン生地は発酵を始めます。
逆に言うと、この条件が揃わないとパン生地は発酵を始めることができません。
パンの種類によってイーストを使い分ける理由は、ここにあります。

加糖生地用のイースト(生イーストや耐糖性のインスタントドライイースト)

パン生地内のショ糖を分解する性質が強く、砂糖を素早く分解し発酵を促進する

無糖生地用のイースト(ドライイーストやインスタントドライイースト)

小麦粉のでんぷん質を麦芽糖に変え、自身の酵素を使ってブドウ糖に分解し栄養源にすることができる

上記の特徴を踏まえて、使い分けを考えてみましょう。

砂糖を多く含む菓子パンやソフト系のパンに、加糖生地用のイーストを使うと、砂糖は早く分解し発酵が促進されます。
しかし、無糖生地用のイーストを使うと、ショ糖を分解する力が弱いため、生地内に多く含まれていても分解→発酵の効率は進まず、通常どおりの速度で発酵します。
つまり、無糖生地用のイーストを使っても特にデメリットはありませんが、加糖生地用のイーストを使うとスピーディーに発酵を進めることができるメリットがあります。

砂糖を含まないハード系のパンに、無糖生地用のイーストを使うと、麦芽糖を分解し発酵を進めます。そして、この発酵により副産物が生まれ、パン生地の風味がよくなります。
しかし、加糖生地用のイーストを使うと、発酵力が十分ではないため、失敗の原因になります。

Q.セミドライイーストとは?

A.インスタントドライイーストと生イーストのいいとこどり

ふんわりとしたパンづくりを可能にするセミドライイースト。皮のさくさく具合、中のふわふわ度は生イーストには敵いませんが、冷凍でき長期保存できるという大きなメリットがあります。
また、インスタントドライイーストと比べるとイースト臭が薄く、あっさりとした香りです。
しかし、ビタミンCを含まないため、生地のしまりがない分、生地の扱いが多少難しくなります。また、ホームベーカリーのタイマー使用および自動投入はできません。自動投入の投入口にセミドライイーストがくっついてしまう恐れがあります。

Q.赤サフと青サフ、金サフの使い分けは?

A.リーン(低糖生地)→赤サフ・青サフ、リッチ(多糖生地)→金サフが向いている

Q.パンの種類によってイーストを使い分けるのはなぜ?」でも解説したとおり、パンの生地とイーストには相性があります。赤サフ、青サフ、金サフにはそれぞれ相性のよいパン生地があり、焼き上がりにも違いがでます。

赤サフ

糖分が12%以下のリーン(低糖生地)に向いている。後述する青サフとの違いはビタミンCを含んでいるかどうか。
赤サフはビタミンCを含んでいるため、安定したボリュームのパン生地を作ることができます。また、ビタミンCはグルテンを強くする作用があり、しっかりとした食感のパンになります。
失敗しにくく、安定したパンづくりができるため、初心者には赤サフをおすすめします。

青サフ

赤サフと同じく糖分が12%以下のリーン(低糖生地)に向いている。青サフはビタミンCを含んでいない。
青サフはビタミンCを含んでいないため、生地のしまりがない分、生地の扱いが多少難しくなりますが、柔らかなパン生地に仕上がります。
中級者および添加物(ビタミンC)が気になる方には青サフをおすすめします。

金サフ

糖分が5%以上のリッチ(多糖生地)に向いている。
金サフは赤サフ同様ビタミンCを含んでいるため、安定したパン生地をつくることができます。

上記の他に、サクッとしたクリスピータイプのピザ生地専用のインスタントドライイーストもあります。

Q.ドライイーストの予備発酵がうまくいかない

A.予備発酵時の砂糖、容器の大きさ、水の温度を確認する

ドライイーストの予備発酵が上手くいかず膨らまない理由には、原因が3つ考えられます。

(1)予備発酵時に砂糖を添加する

パン用のイーストを発酵させるためには、イーストの餌が必要になります。餌の素となる砂糖が添加されていない場合、なかなか発酵が進みません。

(2)適切なサイズの容器を選ぶ

予備発酵で使用する容器が大きすぎる場合、泡がでてくる予備発酵の様子が人の目では確認することが難しくなります。予備発酵にする水の4~5倍程度の容積をもつ容器を選びましょう。

(3)水温は38℃前後

予備発酵で使用する水温が低いと、イーストの動きは鈍くなり予備発酵に時間がかかってしまいます。しかし、熱すぎるとイーストが死んでしまうため注意が必要です。温度計で水温を確認し、必ず38℃前後に水温を調節しましょう。

Q.自家製酵母のオリとは?

A.瓶の底に溜まる酵母の集合体

自家製酵母を作っていると瓶の底に沈殿物が溜まります。この濁った沈殿物がオリ(澱)です。
このオリには酵母がぎっしり詰まっているため、酵母エキスを使用してパンを作る際にはしっかりと混ぜてから使用してください。

Q.酵母づくりに使用したレーズンや林檎は食べられる?

A.食べられますが、そのまま食べるのはおすすめしません

酵母づくりに使用したレーズンや林檎は問題なく食べることができます。
しかし、甘みがなくなるため、そのまま食べたりパンへの混ぜ込みにはおすすめしません。
ペーストにしてカレーなどに入れると旨味が増すので、おすすめです。

おすすめ PICK UP!

ゼロから学ぶパン酵母(イースト・天然酵母・自家製酵母の作り方)