
従業員2名で切り盛りする秘訣と
立地に合わせた店の作り方を探る!
(Fluffy Donuts)
目次
(前編はこちら)(コーナー)
だから、cottaが好き揚げたてドーナツのお店 Fluffy Donuts
天然酵母とイースト生地を使った手作りの揚げたてのドーナツを提供する専門店。揚げたて5種とデコレーション8種を常時販売し、新作も開発し続けている。テイクアウトのほか、イートインも可能。11:00〜21:00 無休
https://www.instagram.com/fluffy__donuts/ https://fluffydonuts.business.site/1日の売り上げ目標は7万円に設定
商品開発をしながら、同時に店舗経営のことも考えていかなければなりません。
「弊社ではカフェをはじめとした飲食店を手かげているので、そのノウハウの蓄積がありました。店舗の規模や客単価、売り上げの構成比率を計算しながら経営のプランを立てていったんです」

▲大手のように特別な機械はない厨房。こまめにフライヤーを使って揚げれば、出来立てのドーナツを提供することができます。
原価率は高くても30%以内に。理想は25%に設定しました。ドーナツの単価は300円前後にしています。
「大手のような機械生産だと大量に作れるので100円台の安さに設定できます。でも、手作りで揚げたてとなると大量生産は難しい。専門性を高めてちょうどいい塩梅の単価を考えるようにしました。同時に家賃や光熱費、人件費などの諸経費を考えつつ。平日の売り上げ目標は7万円、休日は10万円と考え、1日にだいたい200〜300個販売できればよしとしました」
スタッフ2人で製造から販売まで全てをまかなう
人件費を抑えるためのオペレーションも考えました。製造工程では、短縮できるところはほとんどありません。となると、工夫を凝らすのは販売方法。
「スタッフが注文を受けてから商品を取り出して包装まですると、それだけ手間も時間もかかってしまう。お客さまに商品を選んでレジに運んでもらうシステムにしているんです」

▲店内の棚には袋詰めされた揚げたてドーナツと、パッキングされたデコレーションドーナツが並びます。
店内を見ると、揚げたてのドーナツがすでに紙袋などで包装された状態で並んでいます。お客さまがそれをトレイにのせてレジへ持っていくと、スタッフが大きな袋に詰めるという流れ。これなら、平日はスタッフ2人だけでまかなえるのだそう。

▲開店前や客足が落ち着いた時に個包装をしておけば、その後のオペレーションがスムーズ。
「月に1人あたりだいたい24万円の人件費がかかりますから、そこはなんとか抑えたい。とはいえ、無理はいけません。ただ人を減らすのではなく、少ない人数でまわせるシステムを作って無理なく働いてもらえるように心がけています」
客層に合わせて店頭の看板をのれんに変更
かくしてオープンした「Fluffy Donuts」は、商店街という立地もあり、すぐにたくさんの人に認知されるようになります。当初の客層の想定は主婦ということから、女性向けの看板を掲げていました。ネオンを使った都会的な雰囲気のものです。

▲もともとは外にあったネオンの看板。現在は内装のアクセントとして活用されています。
しかし、足を運んでくれるお客さまや、商店街の客層を見て変更したと言います。
「もっと地域に根ざした、親しみのある雰囲気を作ってみようと考えたんです。ネオンの看板はおしゃれですが、ファミリーが多いこの地域にはなじんでいませんでした。それは店内に移動させ、あえて窓口の上にのれんをかけてみたんです」

▲テイクアウト用の窓口にかけられたのれん。これがあることで、よりカジュアルで親しみやすい雰囲気に変わりました。
最初は反応を見るためにテストマーケティング用に作ったのれんをかけていました。すると、数日経って、顕著な結果が出たと言います。
「のれんがあるとぐっとアットホームな雰囲気が出て、入りやすくなったのかもしれません。男性のお客さまが増えたんです。ドーナツって、ケーキほどかしこまっていないので購入しやすいのも大きいと思います」

▲デコレーションは季節のフルーツを使ったものが多く、随時新作も登場。
好みが強く分かれるものでもなく、年代問わず食べられるドーナツは、家族や職場へのちょっとした手土産にちょうどいいのでしょう。それが「揚げたて」となれば物珍しさもあるというわけです。
軌道にのってからバリエーションを増やす
開店当初から、揚げたてのドーナツ5種類と、さらにラズベリーやピスタチオなどのトッピングをしたもの8種類を販売。1日4回の『揚げたて時間』を設定し、時には注文が入ってから揚げるなどして対応してきました。

▲店頭に看板を出して、その日の揚げあがり時間を強調。最近ではオペレーションがよりスムーズになり、常時揚げたてを渡すこともできてきているそう。
「甘いものが好きな方にはすごく好評で、ありがたいと思っています。一方で、甘さが苦手な方にも揚げたてのおいしさを味わってもらいたいという気持ちがあって。今後はカレーパンなどの惣菜ドーナツも販売予定です。日清製粉プレミックスさんと培った知識をもとに、次はイタリアンのシェフと一緒に考えています」
最近では、スタッフの作るスピードも上がり、注文が入ってから揚げ始めて渡せるようにもなってきたそう。「揚げたて」にこだわり、差別化しながら続けてきたドーナツ作り。「Fluffy Donuts」の今後の広がりから目が離せません。
だから、cottaが好き
・小ロットで購入できるから
コーティングに使う材料などを小ロットで注文できるのがとても助かります。複数の味を試作して販売し、お客さまに反応のいいものを多く注文したりと、臨機応変に数を調整できるとロスも少なくなるのでありがたいです。


・他にはない本格的な味になるから
コーティングに使っている「キャラメルチョコ」やトッピングに使っている「ピスタチオ」は、他のメーカーにはない風味ですごくおいしい。お客さまにも好評で、ずっと注文し続けているものです。


取材・文/晴山香織 撮影/忽滑谷なつみ