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水分量によってパンはどう変わる?加水率について考えてみよう

date
2021/03/08
writer
aoi
category
パン作り

水分量によるパン生地の変化

皆さんは、パン生地の水分量について考えたことはありますか?
小麦粉に水を加えて作るパン生地において、加水率はきちんと知っておきたいポイント。

今回は、加水率について詳しく解説。水分量が変わると、パンにどんな違いが出るのか検証した結果をご紹介します。

加水率とは

加水率とは、生地に使う粉の総重量を100%としたときの、粉量に対する水分量。

分かりやすくいえば、粉に対してどのくらいの割合(%)で水分が入っているか、ということです。
※粉には、小麦粉の他、ライ麦粉・全粒粉・米粉・ココアパウダーなどを含みます。

パンの種類で加水率は異なる

加水率はパンの種類によって異なり、その作り方にも影響を及ぼします。
代表的なパンを例にしてみましょう。

加水率60%未満

加水率60%未満のものは、水分が少ない生地といえます。
例えば、ベーグル。加水率は55〜60%。

水分が少ないので、生地はかたくてこねるのに力がいります。
焼き上がりは、目が詰まって噛み応えがあるのが特徴。

加水率65%前後

加水率65%前後のものがパン生地では一般的。食パンや菓子パンなどの生地はこのくらいの加水率になります。

しっかりこねてグルテンを出す、最もベーシックな作り方が多く取られます。
焼き上がりは、ふんわりと均等にきめがのびて膨らむのが特徴。

加水率70~80%

加水率が70〜80%となると、水分は多め。バゲットやカンパーニュなど、ハードパンがこれにあたります。

水分が多い分かなりベタつくので、ヘラで混ぜるなどあまりこねずに生地を作り上げます。
焼き上がりは、大きな気泡がたくさんできるのが特徴。

最近では、加水率80%以上の「高加水パン」も人気があります。

水分量による生地の違いを検証

水分量だけを変えた同配合の生地で、各工程での違いを検証してみましょう。
加水率60%・65%・70%の3種類の生地を作りました。

配合

  • 強力粉…100g
  • 砂糖…5g
  • ドライイースト…1.5g
  • 塩…1.5g
  • 無塩バター…5g
  • 水…60g(加水率60%)
  •  …65g(加水率65%)
     …70g(加水率70%)

工程

こね10分間→一次発酵30℃50分間→分割・ベンチタイム10分間→二次発酵35℃40分間→焼成190℃13分間

比較結果

こね


60%
粉気が多くてまとまりにくく、こねづらい。

65%
まとまりが早く、こねやすい。

70%
まとまりは早いが、ベタベタして手にくっついてこねにくい。

こね上がり

60%
生地がかたく切れやすい。
表面はなめらかさに欠ける。

65%
生地はやわらかく、伸展性がある。
表面はなめらか。

70%
生地はかなりやわらかい。
みずみずしく、つやがある。

一次発酵


60%
他の2つに比べると発酵が少し遅く、上に膨らむ。

65%
30℃50分間で2.5倍程度に発酵。

70%
65%のものと同様に2.5倍程度に発酵するが、少し横広がりに膨らむ。

成形


60%
生地がかたく、思い通りに成形しづらい。

65%
成形しやすいやわらかさ。

70%
成形しやすいが、少しべたつく。

二次発酵

60%
水分が少ないため、歪な形に膨らみやすい。

65%
成形時の形のまま膨らむ。

70%
少し横広がりに膨らむ。

焼き上がり


60%
焼き色が付きやすく、上に膨らむ。
とじ目が外れやすい。

65%
適度に焼き色が付き、全体的にふっくら膨らむ。

70%
焼き色が付きにくく、膨らむが高さは出ない。
冷めるとシワができやすい。

断面


60%
皮は厚めで、目が詰まっている。
かたく噛み応えがある。

65%
均等に膨らんでいる。
60%のものより生地がやわらかく、食べやすい。

70%
ところどころに気泡がある。
やわらかく、もちもち感が強い。

水分量だけを変えて比較してみても、上記で挙げた代表的なパンの特徴が現れていますね。

水分量と加水率の考え方

加水率は、粉に対する水分の割合なので、下記の計算式で求めることができます。

(材料の水分量)÷(粉量)×100=加水率

リーンなパン(小麦・水・酵母・塩といった基本材料で作るパン)は、「水分量=水の分量」となるので、考え方は簡単です。

例:200gの強力粉に120gの水を加える場合
水分量は120g

120÷200×100=60
加水率は60%

注意が必要なのが、リッチなパン(牛乳・卵・砂糖・バターその他副材料が入るパン)。
加水率を考えるときの水分量は、水だけではありません。水以外の水分の多い副材料も水分量として考えるため、考慮する必要があるのです。

パン作りでよく使用する材料の水分量

  • 牛乳…約90%
  • 卵…約70%
  • 生クリーム…約50%
例:200gの強力粉に、110gの牛乳と30gの卵を加える場合
110×0.9+30×0.7=120
水分量は120g

(110×0.9+30×0.7)÷200×100=60
加水率は60%

まとめ


今回は、パン生地の加水について詳しく解説しました。

おうちでのパン作りで加水率を細かく求めることはあまりないかもしれません。ですが、加水率を理解すると、種類・工程・食感など、レシピから大体想像できるようなります。

パンについてより理解が深まり、パンが作りやすくなりますよ。

date
2021/03/08
writer
aoi
category
パン作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。
aoi

パンやお菓子を作ることが子どもの頃から大好き。自宅にてパン教室を主宰。パン作りの楽しさを伝え、パンのある食卓を提案しています。

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