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かたい!べたつく!膨らまない!ココアパウダー入りパンが失敗する理由

date
2023/11/15
writer
Sakiko
category
パン作り

ココアパウダーを入れたパンが膨らまないのはなぜ?

ココアパウダーを入れてパンを作ってみたら、

  • 生地がかたくなった
  • いつまでもべたついてこねるのに時間がかかった
  • 焼いても膨らまなかった

などなど、うまく作れなかったことはありませんか?

プレーンの生地だとしっかり膨らんでやわらかいパンに仕上がるのに、ココアパウダーを入れると失敗してしまうのはなぜなのでしょう。

今回のコラムでは、ココアパウダーを入れた生地が失敗する原因と対策を解説します。

パン生地にココアパウダーを入れるとどうなる?

ココアパウダーなしとありで、パン生地の状態がどう変わるのかを確認してみましょう。

検証のため、基本となるシンプルなパンのレシピを用意。
ココア入りのパン生地は、基本配合の強力粉の一部をココアパウダーに置き変えました。
その他の材料と工程は全て同じです。

こね

プレーン生地

  • 弾力があり、なめらかで伸びのある生地ができるまで約15分間。

ココア生地

  • かためで伸びがなく、なかなかグルテン膜ができない。
  • プレーンと比べて、こね時間は5分間ほど長くなった。

発酵

プレーン生地

  • 順調に発酵。

ココア生地

  • 発酵がゆっくり。一次発酵・二次発酵ともに、プレーン生地より7~10分間追加が必要だった。

焼き上がり

プレーン生地

  • オーブンの中でさらに膨らみ、ボリューム良くふんわり焼き上がる。

ココア生地

  • プレーン生地に比べると膨らみが悪く、少し目の詰まった感じの焼き上がり。

まとめ

使用した粉量は同じなのに、生地のかたさ、こね時間、発酵の進み方、焼き上がりに大きな違いがでました。

工程や見た目だけでなく、ココア入りのパンは時間が経つと食べたときにソフトさに欠け、パサついた食感になるという悲しい結果に。

ココアパウダーを入れたパン生地が失敗する原因

ココアパウダーを入れたパン生地が、プレーン生地と同じように作れない原因はなんなのかを解説していきます。

膨らまずかたい原因は、吸水率の違い

ココアパウダーを入れた生地で一番起こりやすいのが「生地がかたくなる」という状態。
この失敗の原因は、強力粉とココアパウダーの吸水率の違いです。

実際に、強力粉とココアパウダーの吸水性を確認してみましょう。
同量の強力粉とココアパウダーに水を混ぜ合わせてみます。

強力粉

  • 水をしっかり吸水してとろりとやわらか。
  • さらに時間が経つと、弾力がでる。

ココアパウダー

  • なかなかまとまらず、水と混ざり合うと一気に水分がなくなる。
  • 伸びもなく、一塊になる。

同じ粉状の食材でも、吸水性に違いがあるのがよくわかる結果になりました。

ココアパウダーは強力粉よりも吸水率が高いため、強力粉の一部を置き変えるだけで作ってしまうと、強力粉がじゅうぶんに水分を吸わず、かたい生地に仕上がってしまいます。

その結果、伸びが悪く焼いても膨らみにくいパンに。さらに焼き上がり後も時間が経つにつれてかたくなり、パサついた食感になりやすいのです。

生地をこねるのに時間がかかる原因は、成分の違い

ココアパウダーを入れた生地がべたつき、グルテン膜ができるのに時間がかかってしまう理由。これは、強力粉とココアパウダーの成分に違いがあるためです。

成分表示を見てみましょう(2023年10月時点のもの)。

大きな違いがあるのが脂質。

  • 強力粉の脂質…1.5g
  • ココアパウダーの脂質…21.9g

ココアパウダーは脂質、つまり油脂分の多い食材というのがわかります。

油脂はグルテンの形成を阻害する働きがあります。
これはバターと同様で、ココアパウダーも最初から加えるとグルテンがなかなかできず、こね上げるのに時間がかかってしまうのです。

ココアパウダー入りのパンを成功させる方法

では、ココアパウダー入りのパンを成功させるにはどのようにしたらいいのでしょう。

対策1.ココアパウダーと水を混ぜてペーストにする

生地がかたい場合は水をプラスするというやり方でもよいのですが、水分量の調整が難点。
そこでおすすめなのが、ココアパウダーと水を先に混ぜてしまう方法。

ココアパウダーに水(ココアパウダーの1.5倍量)を入れてペースト状にします。

パン生地と同程度のかたさにしておくことで、かたすぎずやわらかすぎない良い生地状態にできるのです。

※今回はcottaココアパウダーを使用。ココアパウダーの種類によって加える水分量が変わる場合があります。

対策2.グルテン膜ができてから加える

ココアも油脂として扱い、グルテン膜ができてから加えます。
こね時間が長くならず、弾力と伸びのあるなめらかな生地が作れます。

失敗しない!ココアパンのレシピ

上記の対策を踏まえたレシピです。

材料(180×80×H60mmパウンド型1本分)

  • 強力粉…130g
  • イースト…2g
  • 砂糖…7g
  • 塩…2g
  • 水…85g
  • バター…7g

  • ココアパウダー…7g
  • 水…10g
おすすめのアイテム
ブリキパウンド型 小

下準備

  • ココアパウダーと水10gを混ぜ合わせ、ペーストにしておく。

作り方

  1. 粉類を混ぜ合わせ、水を加えて粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。

  2. 台に出し、生地が繋がってきたらバターを混ぜ込んでさらにこねる。
    グルテン膜ができたらココアペーストを加える。

  3. なめらかで薄いグルテン膜ができるまでしっかりこねる。

  4. 40~50分間一次発酵。指をさして穴が小さくならなけれれば発酵完了。

  5. 3等分に分割して丸め、15分間ベンチタイム。

  6. ガスを抜き、丸めて成形。

  7. 型から少し出てくるまで45~50分間二次発酵。

  8. 190℃に予熱したオーブンで20~23分間焼成。

ココアパウダーを入れても伸びと弾力のあるきれいな生地で、ふんわりボリューム感のあるパンに焼き上がりました。
プレーンの食パンと比べても遜色ない仕上がり♪

油脂を含んでいるココアパウダーをうまく使うと、しっとりとしておいしさもアップします!

失敗の原因を知れば怖くない!

ココアパウダーを加えたパン生地が失敗する理由がお分かりいただけたでしょうか?

吸水率が高く、脂質が多いココアパウダーは、使い方と加えるタイミングが重要!
ちょっとしたコツで、ソフトでおいしいパンが焼き上がります。

クリスマスにバレンタイン。これからの季節はココアパウダーの出番が多くなります。
性質を知って、失敗知らずのパン作りにいかしてくださいね。

date
2023/11/15
writer
Sakiko
category
パン作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。

シンプルな材料で作るパンが好き♡時々お菓子も♡ ちょっとしたコツでグッと美味しくなるパン作りをお伝えしています。 おうちでもワンランク上のパンを♪ 少人数制のパン教室、fleurirpanを主宰しています。

コメント

匿名さん

2024/02/27 18:10

ありがとうございました とても勉強になりました。 是非,チャレンジしてみたいと思います

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