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パン生地は、こねが足りないとどうなるの?

date
2019/03/11
writer
ぶんちゃん
category
パン作り

こねの役割とは?

パン作りにおける「こね」の役割とは、グルテンを作ること。

グルテンとはパンの基礎となるもので、このグルテンがないとパンはできません。
グルテンには粘性と弾力性があり、こねればこねるほどその性質が強くなっていきます。

では、こねが足りない生地はどうなるのでしょうか?
今回は、パン生地の「こね」について解説します。

なぜグルテンを作るのか?

グルテンは、小麦に含まれるたんぱく質「グルテニン」と「グリアジン」が水分と結び付き、刺激を与えることによってできる物質。

グルテンができると、グルテン膜として目で確認することができます。

グルテン膜は風船のゴムの部分とよく似ています。
弱いゴムでできた風船は膨らませると耐えきれず破裂してしまうのに対し、頑丈なゴムでできた風船は破れずに大きく膨らみますよね!

この風船と同じように、強いグルテン膜を作ると、発酵によって作られる炭酸ガスをしっかりと抱え込むことができるため、大きく膨らんだやわらかいパンができるのです。

いろいろなこね方

こね方は、大きく分けると3種類に分類できます。

たてごね

生地を台にこすりつけるように伸ばしてこねる方法。
この方法が基本のこね方になります。

たたきごね

生地をバンバンと台にたたき付けてこねる方法。
水分量が多くまとまりにくい生地や、食パンなど強いグルテンが必要な場合に。
ただ、やりすぎると生地の温度が下がり、生地が乾燥してしまうので注意が必要。

Vごね

生地を両手で覆い、Vの字を描くように転がしてこねる方法。
こねの最後に2~3分間加えることで、生地の温度を上げ、きめを整える効果があります。

こね時間を変えて食パンを比較してみよう

下記のレシピを使用して、こね時間のみ変えたパンに、どのような差が出るのか比較してみます。

材料(1斤分)

  • 強力粉…260g
  • インスタントドライイースト…3g
  • 塩…4.5g
  • 砂糖…20g
  • スキムミルク…12g
  • バター…26g
  • 水…180g

「ふわふわしっとり♪ 基本の山食パン」の詳しいレシピページはこちら

 
20分間しっかりこねた生地をA、5分間だけこねた生地をBとして、違いを比べてみましょう。

グルテン膜をチェック

Aの生地

よくこねたAの生地は強く伸ばしても破れず、しっかりと薄いグルテン膜ができています。

Bの生地

あまりこねなかったBの生地は、少し持ち上げただけでもブチブチ切れてしまいます。

こねが足りないと、生地がしっかりとつながっていないことが分かります。

丸め

Aの生地

ツルッとしたきれいな仕上がりで、弾力があります。

Bの生地

生地が切れて表面が荒れていて、弾力もありません。

一次発酵

一次発酵は35℃で45分間行います。

Aの生地

大きく膨らんでハリがあり、表面がツルッとしています。

Bの生地

Aに比べると少し膨らみが弱く、ハリがありません。

ガス抜き

パンチを入れると、AとBとで明らかな差がでました。

Aの生地

ガスをたくさん抱え込んだため生地がとても軽く、気泡の膜がぼこぼこと上がってきました。

Bの生地

Aに比べて生地が重たく、あまりガスを抱え込めていませんでした。

ベンチタイム

それぞれ3分割し、15分間ベンチタイムを取ります。

この時点でも、やはりBのほうが表面が荒れていますね。

成形

同じように成形します(成形方法はレシピを参照)。

二次発酵

二次発酵は35℃で90分間行います。

Aの生地

型の1cm下までしっかり発酵しています。

Bの生地

Aに比べて発酵が少し足りないようです。

焼き上がり

Aの生地

しっかり伸びて、高さが出ました。

Bの生地

伸びましたが、Aと比べるとやや低めです。

内層と食感

きめ

Aの生地
きめが細かい。

Bの生地
きめが粗い。

食感

Aの生地

  • 引きがある。
  • しっかり伸びた分、ふんわり軽くて口溶けが良い。
  • 時間がたってもやわらかく、パン生地がかたくなる「老化」は遅い。

Bの生地

  • 歯切れが良い。
  • 伸び足りない分、少し詰まったような重い食感で口溶けが悪い。
  • Aに比べ、パン生地の「老化」が早い。

まとめ

こねにはパンの膨らみや内層を決める重要な役割があるということが分かりました。
そして、内層は食感に大きく影響します。

これは、作りたいパンによってこね具合を変えると、いろんなパンを作ることができるということでもあります。

今回は食パンで比較しましたが、これがフランスパンなどのハード系のパンになるとどうでしょうか。
ハード系パンの内層は気泡が大きく空いていて、歯切れのいい食感が特徴ですよね。

やわらかくきめの細かいパンを作りたいときは、グルテン膜ができるまでしっかりとこねる。
反対に、ハード系できめの粗いパンを作りたいときは、あまりこねずにパンチなどで生地をつないでいく。

パンによってこね具合を変えるのも、パン作りの面白いところではないでしょうか♪

【おすすめの特集】パンのこねゼロから学ぶパンの「こね」の特集はこちら
date
2019/03/11
writer
ぶんちゃん
category
パン作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。

パンづくりを通してたくさんの笑顔をつくりたい。 おいしい楽しい幸せ!を感じてもらえるパン教室「nicopan」を主催しています。

コメント

はなさん

2021/05/15 08:19

文章だけだと、初心者には区別がつかないんですが、実際に作りながらの写真もあったので比較しやすく、とても分かりやすかったです。

ねねさん

2021/12/02 21:04

こねずにできる本格パンの本を見てレシピ道理作りました出来上りが硬く家族に怒られました こねる作業がこんなにも大事だと始めてわかりました これからはちゃんと捏ねて楽しくパン作りをいたします 有り難う御座いました…感謝

ゆうちゃんさん

2022/06/12 05:24

グルテンチェックをどこまですればよいかわからず、このページにたどり着きました。 分かりやすく写真まであり、安心しました。 本当にありがとうございました! ちなみに、捏ね過ぎるほど捏ねたことはないのですが、 その場合どのようになるのか興味があります。 パン作りってまるで実験みたいで楽しいです!

匿名さん

2023/03/21 17:51

どっしりした感じのパンが好みの場合、あえてほとんど捏ねない生地作りも有りですね。 趣味でパンを作る際、本格的に捏ねるのが面倒なのと膨らみが弱い重めの生地が好みという事もあり、ボウルの中で少し練って寝かせて発酵を3度繰り返し、フライパンで焼いてすぐに食べる…というのをやってます。 好みに合う美味しいパンになるんですが、余ってしまって残した時はやはりあっという間に水分が飛んでしまってボソボソしたパンになっちゃいます。 そうなったパンはもう一度焼いてカリカリにしたりスープに浸したりして食べています。

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