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ベーキングソーダとベーキングパウダーの違い

date
2018/03/19
writer
KOU
category
お菓子作り

ベーキングソーダとベーキンングパウダー


製菓材料界のバイプレイヤーであるベーキングソーダとベーキングパウダー。

どちらも生地が膨らむのを助けてくれますが、この二つは何が違うのでしょうか?

原料の違いは?

まずはベーキングソーダとベーキングパウダーの成分を見てみましょう。

ベーキングソーダ

成分

  • 炭酸水素ナトリウム 99%以上

炭酸水素ナトリウムは「重炭酸ソーダ」とも呼ばれ、それを略して「重曹(じゅうそう)」といいます。ベーキングソーダよりも「重曹」の方が馴染み深いかもしれませんね(これ以降「重曹」と書きます)。

重曹は加熱されることで炭酸ガスを発生させます。そしてこのガスが生地を膨らませます。

ベーキングパウダー

成分

  • 第一リン酸カルシウム 42%
  • 炭酸水素ナトリウム 32%
  • コーンスターチ 26%

*今回は“ラムフォードベーキングパウダー”の成分表示を確認しました。

ベーキングパウダー(これ以降「BP」と書きます)の成分は、三つの要素で構成されており、それぞれ異なる働きを持ちます。

(1) 炭酸水素ナトリウム
炭酸ガスを発生させる。

(2) 第一リン酸カルシウム
炭酸水素ナトリウムと反応してガスを発生させ、生地がアルカリ性になるのを防ぐ酸性剤。

(3) コーンスターチ
保管中に炭酸水素ナトリウムと酸性剤が反応しないようにする遮断剤。

BPは水を加えた時と加熱時の二回、炭酸水素ナトリウムと酸性剤の反応が起こり、炭酸ガスが発生します。

代用するときの使用量

二つは成分が異なるため発生する炭酸ガスの量が違い、そのままの分量では置き換えることはできません。
発生する炭酸ガスの量が同じくらいになるようにすれば、置き換えが可能となります。

・BPを重曹に置き換える場合
BPのグラム数×2/3=重曹のグラム数

・重曹をBPに置き換える場合
重曹のグラム数×3/2=BPのグラム数

*今回は“ラムフォードベーキングパウダー”の成分表示を元にして計算式を出しております。
*BPの種類によっては数値が変わることがあります。

焼き比べてみた!

実際に重曹とBPを使って、比較してみました。
今回は、BPがよく使われるアメリカンベイクなお菓子からマフィンとスコーンを焼き比べます。

マフィン

重曹

焼いている間から、独特の香り。この匂い、どこかで嗅いだことがあると思ったのですが、温泉街で売っている炭酸せんべいや温泉まんじゅうでした。あの香ばしいような香りです。

膨らみは縦方向ではなく、型から垂れ流れていくほど横へと広がりました。

焼き上がりの色は黄みがかっていて、実際に食べてみると、少ししょっぱいような苦いような、洋菓子というよりも和菓子寄りの独特の味がします。

重曹ではアルカリ性の物質が作られます。このアルカリ性の物質に小麦粉のフラボノイド色素が反応して、生地が黄色くなります。苦みやしょっぱさもアルカリ性特有のものです。

チョコレートマフィンでも色に違いがあり、重曹の生地は、よりビターな色合いになっています。

BP

お菓子特有のバターと卵の甘い香りがして、焼き上がりも全体的にもりもりとキノコ型に膨らみました。

スコーン

重曹

重曹を使用した生地の方がよく膨らみます。
マフィン同様、少ししょっぱく苦い味がしました。

BP

重曹の生地に比べて膨らみが少ない理由としては、炭酸ガスの発生のタイミングの影響が考えられます。
生地を寝かせているときからラップが張っていて、ガスが溜まっているのがよくわかります。

寝かせている段階で既に炭酸ガスが生成され、その後、生地を伸ばしたり分割している間に気泡がつぶれて、重曹の生地と比べ膨らまなかったのではないでしょうか。

まとめ

BPは生地の風味を損ねません。

一方、重曹は生地がアルカリ性になるので黄色っぽくなり、独特の風味をもたらします。しかし、加熱されるまで炭酸ガスは発生しないので、生地を寝かせるお菓子でもしっかりと膨らみます。

このように違いがあるため、お菓子に合わせた使い分けをするのがおすすめです。

使い分けて、おいしい焼き菓子を作りましょう!

date
2018/03/19
writer
KOU
category
お菓子作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。
KOU

お菓子作りと料理が趣味の男子大学生。つくる楽しみと食べる喜びが生活に欠かせません。素朴なおやつも、素敵菓子も大好きです。

コメント

めりぞうさん

2020/05/17 08:53

ありがとうございます! スコーンを焼こうと思って材料をそろえていたら、家にあったのは重曹。「あれ?ベーキングパウダーじゃない・・・?」とネット検索したところ、こちらのサイトにぶつかりました。 焼き具合から味、色の違いの比較と焼き上がりの写真、本当に助かりました!本当にありがとうございます!ベーキングパウダーを買いに行きます!!!

スコーン食べたかったひとさん

2020/05/26 13:32

コストコのベーキングソーダでスコーンを焼いたら毒物混入??と思うほど苦くなりました。ソーダとパウダーの違いがよく分かりました。ありがとうございました。

junさん

2020/09/11 10:20

バナナケーキのレシピを見ていたら、BPとベーキングソーダの二つを入れるように書いてありました。 ベーキングソーダなんて聞いたことも無かったのですが、まさかの重曹でビックリしました。 詳しく説明して頂き助かりました。有難うございます。 BPは洋菓子にベーキングソーダは和菓子に使おうと思います。

ジェーンさん

2020/12/14 19:36

こんにちは。ありがとうございます。大変勉強になりました。 好きなお菓子屋さんの原材料に炭酸ソーダ、炭酸アンモニアとありました。出来たら再現したいのです。 炭酸アンモニアについてもお分かりでしたらいつか解説をしていただけたら嬉しいです。

匿名さん

2021/02/26 19:48

重曹が苦い理由と黒くなる理由が分かって助かりました。

ヒメさん

2021/06/21 09:44

お菓子づくりでなく、家庭菜園のきゅうりのうどん粉に重曹を使おうと思って調べました。成分の違いもわかりありがとうございました

Kanackyさん

2021/11/20 13:11

普段から疑問に感じていたのでスッキリしました。 写真付きでとてもわかりやすいです。 有り難うございます!

フボさん

2022/12/29 12:27

出来上がりを比較対比出来てとても参考になりました。 むかしBPがなかった頃母が作ってくれたがんづき、たまに少し苦いところがあったのを思い出しました。重曹が良く混ざりきってなかったのかと、懐かしく思い出しました。

ふむふむさん

2023/01/18 08:01

クランペットを作った時に、お掃除も出来る大袋の重曹を使いました。ただ買ったのが何ヶ月も前なので、その為か、それとも元々の質がクッキング専用のものと違ったのか、表面の穴が開きませんでした。味も食感もクランペットで、ちゃんと膨らんだし、美味しかったのですが、やっぱり穴がないとバターが浸みないので重曹を購入。検索の時、なぜベーキングパウダーが一緒に検索結果に出るのか不思議に思い、こちらに行きつきました。やはりパーキングパウダーだと違う材料が入っているので、向かないようですね。よく理解できました。ありがとうございます。食品用重曹で再挑戦します。

cookieさん

2023/08/02 16:46

とても助かりました。同じようなもんだと思ってソーダを使わずに済みました。ありがとうございました

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