冬ならではのパン作りの悩みといえば?
冬場にパンを作るときに悩むことといえば、発酵に時間がかかることと、パン生地の乾燥ではないでしょうか。
これは、気温と湿度が下がる日本の冬にパン作りをしたことがある人なら、感じたことがあるのでは?
今回は、パン作りの工程別に、冬ならではの2つのお悩みの対処方法を考えてみました。
冬のパン作りにふさわしい環境とは
まず、パンを作る部屋の環境を確認してみましょう。
温度や湿度などに、少し目を向けるだけでも作りやすさが変わります。
エアコンをつけるなら、その温度や風向きなどを意識してみるのもそのひとつ。
エアコンの風が当たる位置でパンを作ると、やはり乾燥してしまいますよね。
加湿器で部屋の湿度を上げるのもおすすめです。
こね
気温が低くなる冬場は、パン生地の温度が低くなりやすい季節。
パン生地の温度が低いことが、発酵時間が長くなる最大の理由と言っても過言ではありません。
生地の適正なこね上げ温度は28℃程度。
こね上がった生地が適温だと、この後の発酵もスムーズ。最初が肝心です!
こね上げ温度を調整するために重要なのが、仕込み水の温度。
「こね上げ温度とは?こね上げ温度の違うパンを比較してみた」のコラムにわかりやすくまとめてあるので、ぜひ参考にしてくださいね。
手ごねと、ホームベーカリーやニーダーなどのこね機を使う場合の、それぞれのポイントを見ていきましょう。
手ごねの場合
室温が低いと、こね台などの器具も冷えていますよね。
特に、ひんやりとした大理石のこね台をお使いの方は、さらに生地温度が下がってしまうことに。この場合は、仕込み水の温度を少し上げて、ぬるま湯程度にするなどの工夫も必要になります。
また、手の温度が低くなってしまっているときには、こねる前に手を温めるのが意外と効果的!
こね機を使う場合
こね機は、手ごねに比べて生地温度が上がりやすいのが特徴。
こねている間にモーターの熱や摩擦熱の影響で生地温度が上がってきます。
この点では、仕込み水の温度が低めでも生地温度が上がりやすく、冬場には使いやすいといえるのではないでしょうか。
一次発酵
最適なこね上げ温度でも、発酵する場所の温度が低いと生地が冷え、発酵に時間がかかってしまいます。
ここでも、一定の温度を保てると発酵がスムーズ。
発酵器をお持ちの方は、ぜひ一次発酵から使ってください。
設定温度は、25~30℃を目安に。
オーブンの発酵機能も、もちろん有効です。
発酵器がない場合は、暖かい部屋に置くのもひとつの方法。
お湯などであらかじめ温めておいたボウルにパン生地を入れると◎
ただ、暖房器具のすぐ近くに置くと、生地が乾燥したり温かくなりすぎたりと失敗の原因にもなるので、注意して。
クーラーボックスや発泡スチロール製の箱に、お湯を入れたカップなどを入れて湿度を保ち、そこに生地の入ったボウルを入れる方法もおすすめです。
お湯を直接入れても大丈夫なものなら、ボウルをお湯に浮かせても。
発酵は、温度を下げないことが何より大切。
お湯が冷えたら、温かいものと取り替えてください。
ベンチタイム
この段階で最も気にかけることは、パン生地の乾燥。
空気に触れるだけでも、パン生地は早いスピードで乾燥します。
パンマットの上でベンチタイムを取る場合は、固く絞った布巾をかぶせてください。
布巾がしっかり絞れていないと、パン生地がべたつくこともあるので気を付けて。
ここでも、パン生地の横にお湯を入れたカップを置いておくのがおすすめ。生地が冷えにくく乾燥も防止できるので、この後の成形がしやすくなります。
番重などのケースがあれば、その中でベンチタイムを取るのもいいかと思います。きれいな段ボール箱でもOK。
もちろん、お湯も忘れずに!!
生地量が少ない場合は、ボウルなどをかぶせるのも◎
パンマットをかぶせてベンチタイムを取ることもありますが、パン生地の乾燥が進みやすい冬場は控えたほうが安心です。
二次発酵
二次発酵でも、発酵機があれば一次発酵と同様にお使いください。
温度は、30~35℃に設定を。
室内で二次発酵する場合は、ベンチタイム同様、大きなケースに入れるのがおすすめ。ここでも、お湯の入ったカップを一緒に入れて発酵させてくださいね。
食パンなど型に入れて焼成するパンは、大きめのビニール袋に型とお湯の入ったカップを一緒に入れる方法も。
型に入れて焼くパンは、二次発酵からの作業がスムーズ。
ビニール袋に入れたりお湯を取り替えたりという作業も、型に入っていることで移動が楽になり、作業性がぐんと上がるように思います。
焼き上がったパンにもご注意を
忘れがちなのが焼き上がったパンの保存。
ケーキクーラーなどに置いて冷ますと思いますが、粗熱が取れたら早めに袋に入れるのを忘れずに。
冬場は、焼き上がったパンの乾燥も早いので油断大敵です!
丸パンなど小型のパンは、袋に入れる前にひとつずつラップに包むと◎
冬のパン作りに大切なこと
パン生地の発酵に時間がかかるうえ、乾燥しやすくパン作りが難しい冬。
冬のパン作りで大切にしたいのは、まずゆとりある時間配分かもしれません。
発酵が遅くなるということを頭に入れて心に余裕を持つと、慌てることなく作業できますよ。
おうちでゆっくり、冬のパン作りをお楽しみください。